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 ある土曜日のこと。目覚めると昼過ぎだった。 カーテンの隙間からこぼれる光に、わずかに目を細める。ベッドから身を起こして軽くストレッチ。ぐるりぐるりと肩を回すと、特に左肩周りがキリキリと痛かった。 「うぅー……、ねみぃ」  俺は何とか一歩踏み出して、カーテンをちょっぴり開けた。ギラギラとした夏の日差しやセミの大合唱が窓越しに襲いかかってくる。 「クソ暑いな……」  カーテンの僅かなすき間をぴっちり閉じて、冷房のスイッチをオンにする。ちょうどそのとき、部屋のドアから控えめなノックがした。
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