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「お兄ぃ、起きてる?」 カチャリと開かれたドアの隙間から、丸い目が二つこちらを覗いていた。 「ああ。今起きた」 「す・ご・く遅いよ! もう高校生なのに、だらしないなぁ……」 五つ年下の妹は、俺に対して最近とても手厳しい。少し前まであんなに懐いていたのに……兄としては悲しい限りだ。妹は眉を吊り上げ続けた。 「お母さんがね、『今から出かけてくるから留守番は任せた』って言ってるよ」  俺は軽く目を擦った。 よく見ると、妹はこの前お気に入りだと自慢していた黄色いワンピースを着ている。これから母たちと一緒にショッピングモールにでも行くのだろう。 「私はママたちに付いていくけれど……お兄ぃは、どうせコレでしょ?」 そう言った妹は、部屋の隅にあるアコースティックギターを指さした。
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