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「今日は蓮のために、特別のミニコンサートを開催するよ! 一曲目はSwitchの八助が作曲した「出会い」だ」
それからコンサートが始まった。
俺のための、即興のコンサート。
聴いているうちに、いつの間にか涙は引っ込んでいた。有名な曲から、マイナーな曲まである贅沢なコンサートだ。三曲目を弾き終わった後、はっちはこう言った。
「さっきの話の続きなんだけれど……。Switchの曲は難しいから、最初はもっと簡単な曲を弾いた方がいいと僕は思ったんだ。でも蓮には、この曲たちに対する情熱がある。悪い言い方をすると執着っていう言い方にもなっちゃうけれど」
そう言ったはっちの顔に、ほんの少し影が差したような気がした。それを振り払うようにはっちは声のトーンを上げた。
「蓮は絶対に、絶対にSwitchの曲を弾けるようになるさ。僕がついているからね!」
はっちは真剣な眼差しで俺を見た。俺の想いにギタリストはっちは演奏で応えてくれているのだ。そう気づいた瞬間、俺は何とも言えないくすぐったい気持ちになった。
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