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はっちによる即興のコンサート。
——それを聴いている者が、蓮以外にもう一人いた。その人物はこっそりと空き教室に近づき、教室から聞こえてくる美しいメロディーに心を奪われていたのだった。
「何よ、この音。すごく、私好みじゃない?」
その人物は決して蓮にバレないように、教室のドアの影に隠れていた。ちらりと空き教室に目をやり、すぐに隠れる。
「あの人、名前はたしか市村 蓮だっけ……。彼、後ろ向いてるからどんな風に弾いているのかあまり良く見えないけど、ギター上手すぎじゃない!?」
演奏者は勿論はっちなのだが、その姿は彼女——幽霊部員の山田 優の目に映ることはない。はっちは蓮にだけ姿を見せているので、優には蓮がギターを弾いているように見えているのだった。
「ちょっと……。これは事件よ!」
彼女はすぐに立ち上がると、そのままある人物のもとへ駆け出した。
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