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井口さんにお礼を言いギターを受け取ると、はっちが戻ってきた。
「ありがとう、井口」
「どういたしまして」
「じゃあ、またリハで会おう」
はっちは井口さんにそう声を掛けると、俺を見た。その瞬間俺はドキリとした。
本物の八助だ。ステージでキラキラと輝くギタリストが、俺の目の前にいる。
「待ち合わせに遅れてしまったね。ごめん」
「いや別に」
俺にははっちを責める余裕がなかった。さっきまで井口さんがいたから普通に話せていたのだが、二人で会話すると変に緊張する。
「お詫びにコーヒーでもごちそうするよ」
「あっありがとう」
ございます……。と俺は小さな声で付け加えた。
To be continued...
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