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しばらくすると毛づくろいが終わったようで、猫がこっちを見た。そして短い沈黙のあと、金色の目をきゅるんとさせてこう言った。 「何か?」 俺は何も答えられなかった。あたふたする俺を見て、何かを察したのかその猫は続けて言った。 「あ、ごめんなさい。あたりめ、ごちそうさまでした」 「……いや、そうじゃない。そうじゃないだろ、バカヤロー! 何で人語話すんだ、びっくりしたぜ!!」 俺は飛び上がった。鳥肌が止まらない。人生で一番の衝撃かもしれない。 こいつ、猫又だ! 俺はそう直感した。その猫又は二本の黒いしっぽをくねくねさせ、それからコテンと横になった。
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