19人が本棚に入れています
本棚に追加
あたりめを大事そうに扱うはっちは、とても幸せそうに見える。
お礼したあとに優さんは、しばらくはっちを眺めていた。そして満足したのか俺たちの方を見て、こう言った。
「――さぁ、本番まであと少しよ。気合い入れて頑張りましょう!」
いつも俺たちを引っ張ってくれる優さんに戻ったようだ。
俺は胸を撫で下ろした。
「よし、やるか」
弘も、いつもの弘に戻っている。
「ぷっふう! ぼくは今日、聴くことに専念するよ」
はっちは椅子に座って聴く姿勢になった。
二人と一匹を見て思う。
俺はまだビギナーだけど、二人と一匹のおかげでここまでくることができた。
一人じゃ解決できないことも、皆で話し合って進められるようになった。
軽音楽部に入部し、一人ぼっちでギターを弾いていたことを思い出した。
でも、今は一人じゃない。
俺には仲間ができたんだ。
その想いを胸に、俺はギターを構えた。
最初のコメントを投稿しよう!