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 あたりめを大事そうに扱うはっちは、とても幸せそうに見える。  お礼したあとに優さんは、しばらくはっちを眺めていた。そして満足したのか俺たちの方を見て、こう言った。 「――さぁ、本番まであと少しよ。気合い入れて頑張りましょう!」  いつも俺たちを引っ張ってくれる優さんに戻ったようだ。  俺は胸を撫で下ろした。 「よし、やるか」  弘も、いつもの弘に戻っている。 「ぷっふう! ぼくは今日、聴くことに専念するよ」  はっちは椅子に座って聴く姿勢になった。  二人と一匹を見て思う。  俺はまだビギナーだけど、二人と一匹のおかげでここまでくることができた。  一人じゃ解決できないことも、皆で話し合って進められるようになった。  軽音楽部に入部し、一人ぼっちでギターを弾いていたことを思い出した。  でも、今は一人じゃない。  俺には仲間ができたんだ。  その想いを胸に、俺はギターを構えた。
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