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 ――本番当日。  演奏場所は、体育館のステージだ。  俺は少し早起きして、学校に向かい、ステージに一人で立ってみた。 いつも体育の授業で使っているときと違って、大きく見える。 「今日はここで演奏するのか……」  大して高い場所でもないのに、足がすくんだ。  手がどんどん冷えていって、震えが止まらなくなる。 「――そこにいるのは蓮か?」  体育館の入り口から聞きなれた声が聞こえてきた。 目を向けると、弘が入り口に立っている。弘は外履きを脱ぎ、靴下のまま歩いて俺の方に来た。 「部室に鞄だけ置いてあったから、もしかしたらと思って来てみたんだ」  まさか本当にいるとは、と弘は笑った。   「弘」 「……なんだ?」 「弘は、緊張しているときどうするんだ?」 「蓮、緊張してるのか?」 「うん」 「そうか……」  弘はうーんと唸ったあと、こう言った。 「慣れるしかないな」 「慣れかよぉ」  俺は頭を抱えた。 「大丈夫だよ、弘。俺と優がいるから」 「……」 「一人じゃないんだ。何とかなるさ!」  ほら、と弘が立つように促した。 「最後にちょっとだけ、練習しようぜ」 「あぁ」  そう言って先を歩く弘を、俺は走って追いかけた。  
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