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本番が始まり、俺たち三人は、体育館の舞台袖で吹奏楽部の演奏を聞いていた。
耳にしたことのあるトランペットのメロディが流れる。
ついこの間まで、弘が練習していた曲だと気づいた俺は、隣にいる彼をちらりと見た。弘は音が出ないようにして、ベースの弦を触っていた。
その手の動きを見て『茜色のたからもの』の伴奏だと分かった。
「――よし、終わったみたいね」
吹奏楽部の演奏が終わり、体育館が拍手喝采に包まれる。俺は自分の手を見た。
少しばかり震えているが、ギターを弾けないほどじゃない。
優さんが立ち上がった。
「TUXEDO CAT 始動よ」
俺たちは頷きあった。
△
優さんのドラムをステージ後方にセットし終わり、ステージブザーがなった。
暗幕が開かれる。
ドラムスティックを構える優さん。
エレキベースに手を添える弘。
そして俺は気づいてしまった。
ヤバい……。やらかした……。
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