第1章 保護されて、結婚

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 両親は自分のことを疎み、双子の妹ばかり可愛がっていた。その理由は明確で、今ならばある程度仕方がないと割り切れたのかもしれない。だが、あの頃は寂しかった。  寂しくて、苦しくて、辛くて……。  その所為で暴走してしまって、余計に疎まれて。悪循環に陥っていた。 「誰でもいいから、愛してほしかったわ」  目を瞑って、そう呟く。  もう顔も思い出せない両親と双子の妹。彼らは今、なにをしているのか。ついに、自分のことを見捨てたのだろうか――と、思っていたときだった。  部屋の外でどたどたという数人の足音が聞こえて来た。重たい瞼を開けるものの、空腹から身体は起こせない。 「ここももぬけの殻です!」 「こっちもです!」  どうやら、この建物に入ってきた人物は全員男性らしかった。その声と歩き方から、大体わかる。 「一応、全ての部屋を捜索するように。……万が一、隠れられていたら困るからな」  絶対零度とも呼べそうな、冷たい声が耳に届いた。その声には感情なんてちっともこもっていない。まるで感情を邪魔のものだと思い、削ぎ落したような声だと思った。  しかし、それよりもお腹が減ってたまらない。またぐぅと弱々しく主張をするお腹を押さえれば、部屋の扉がガタガタと音を鳴らす。
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