第1章 保護されて、結婚

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「隊長! ここは施錠されているようです!」  先ほどとは別の男性の声が聞こえる。そして、なにやらこそこそとした話し声。  けれど、生憎なにを話しているのかなんてわからない。とにかく、お腹が空いて頭が回らない。 「……下がれ。俺が蹴破る」  それから、少しして。そんな声が聞こえたかと思うと――扉が吹き飛んだのがわかった。  驚いて目を見開けば、そこには真っ二つに割れた木の扉がある。……あそこには、魔封じの術がかかっていたはずなので、素で蹴破ったのだろう。  扉に視線をくぎ付けにされる。その所為で、その男性がこちらに近づいてきていることに気が付けなかった。 「……誰だ?」  男性がそう問いかけてくる。……なんて答えようか。そう思ったけれど――今は、口を動かすのも辛い。 「答えろ。……誰だ」  彼が剣のグリップに手をかけた。それに気が付いても、特別な反応をすることが出来ない。 「隊長。……この人、なんか変ですよ」  別の男性が、二人の間に割り込んでくる。ぼうっとしてその二人を見つめた。  ……また、ぐぅっとお腹の音が鳴る。今度は、大きな音だった。  その音を聞いたためか、二人の男性がぽかんとしたような表情を浮かべる。だからこそ、ゆっくりと口を開く。今ならば、最低限の言葉で済むと思ったからだ。 「――お腹、空いたんです」  ぽつりとそう零して、彼女――エルーシアは意識を失った。
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