第1章 保護されて、結婚

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「私に答えられることなら、答えますから」  女性を安心させるように微笑めば、彼女はほっと肩の力を抜いていた。その姿にエルーシアもほっとする。どうやら、彼女は緊張していたらしい。  まぁ、得体のしれない相手と一対一で対面しているのだ。緊張するなというほうが、無理なのかもしれない。 「よかったです。あ、私はカタリーネと言います」  女性――カタリーネが、エルーシアににっこりと笑いかけてくれる。その笑みは何処か無邪気で、愛らしいものだ。  エルーシアの気持ちも、自然とほぐれていく。どうやら、自らも案外緊張していたらしい。 「え、えぇっと、私は――」  折角だし……と、自らも自己紹介をしようとしたとき。不意に部屋の扉がノックもなしに開く。  驚いてそちらに視線を向ければ、そこには美しい男性がいた。はちみつを溶かしたような金色の短い髪。その鋭い橙色の目は、一種の宝石のようだ。  その美しい容姿は、いっそ人々に畏怖さえ与えてしまいそうなほどだと、エルーシアは自然と思った。 (なんて、お美しいお人……)  ほうっとしつつ、彼を見つめ続けた。しかし、男性はエルーシアの視線に気が付いて鬱陶しそうな仕草を見せる。それを見てエルーシアは慌てて視線を逸らす。 「隊長! レディが使用しているお部屋なんですから、ノックくらいしてください!」  カタリーネが隊長と呼ばれた男性に向かって、突っかかる。  けれど、男性にその言葉は響いていないらしい。彼はその凍てついたように冷たい視線をエルーシアに向ける。  彼の唇が動く。その動きが、まるでスローモーションのようだった。 「別にいいだろう。生憎、俺はそんな貧相な人間をレディと認識することはない」
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