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「俺は、どっちの性格も持ってる。今まで女とは三カ月以上長く続いた事がないし、男とは大体一度寝たら二度目はない。
……だから、修平と付き合うのが怖いんだよ。一度抱いたから、もう仲のいい友達ではいられない。本当は、肝試しの夜に告白して振られて終わりにする予定だった。まさか、異世界に飛ばされるなんて思わなかったけどな」
康哉は冷めてしまったコーヒーを一口飲んだ。
「修平も、もう俺にかなり幻滅しただろ?」
「……そんな事は」
「お前は俺を良い奴だって言うけどさ、高校生の時にお前と彼女が別れたの、俺のせいだって知ってたか?異世界の王子様に二度と会えないようにお前を追いつめたのも俺だし、こっちに帰ってきても連絡が取れないように携帯を壊したのも俺なんだ。嫌な奴だろ」
康哉の告白が胸に刺さって手が震えた。
「修平、もう、会うの止めよう」
***
結局その後康哉とは喫茶店で別れた。
電車に乗ってアパートに帰るのに、二駅も乗り過ごしてしまった。
なんだか呆然としてる。
康哉が何を言ってたか、半分も理解出来なかった。
結局康哉は俺が好きなのか嫌いなのかも分からない。本人にも分かってないんだろうか。
携帯を壊した?
康哉はそんな奴じゃないと思ってたのに。
それともあの、アニキのハメ撮り動画を見られたとか……まさかな。
帰宅してからも何も手につかず、ベッドでぼんやりと康哉の事を考える。
一方的な告白に腹が立っていたけど、夜が来るにつれて悲しくなってきた。
一体どこで間違えたんだ?
何で付き合ってもないのに振られてるんだろう。
ずっと親友だと思っていたのに、いつの間にか親友はいなくなっていた。
***
康哉に一方的に別れを告げられてから、二カ月近く経った。
結局あれから康哉に連絡出来なくて、それでも毎日同じような生活をして過ごしてる。
別の友達と遊んだり、動物園に行ったり、バイトや大学の勉強で忙しく過ごしていたけど、忘れられるのはそのときだけで、康哉の事は心の奥にずっとくすぶっていた。
腹が立ったり、悲しくなったり、落ち込んだり、ちょっとした人間不信になったりした。
やっぱり寂しい、という結論に達したけど、じゃあどうしたらこの寂しさが無くなるのかは分からなかった。
「弁当食いたいなー……」
康哉の作った弁当。
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