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別に康哉、怒ったりしてはなさそうだな。こっちに帰ってきた時、勝手に連れて帰ったし、残酷だとか言われたから、もしかしたら怒ってて、俺とは話したくないのかと思ってた。
会ったら何を話そう。
いつも、適当に連絡して、何も考えず遊んでたから、こんな風にいろいろ考えている自分が不思議だ。
ミックスサンドを食べおわって、ジュースも飲んで、漫画を読んでいた時に喫茶店のドアが開いた。
康哉が窓際の椅子に座っていた俺に気づいて、こっちに歩いてくる。
細身のズボンにシンプルなデザインのシャツを着ているだけなのに、モデル並みに似合ってる。俺が同じ服を着たらただの地味スタイルになるのに、この違いは何だろう。
康哉の方が背が高くて顔がいいからなのか?そういえば康哉は異世界の兵士服も似合ってた。
席についた康哉は店員にコーヒーを頼む。
店員は若い女の子で、康哉にキラキラした笑顔を向けた。
「コーヒーですね。いつもありがとうございます」
康哉もにっこり微笑む。
相変わらず女の子には愛想がいい奴だ。確かに可愛いけどさ。
「康哉、いつも来てるのか?」
「たまに。ここのコーヒー美味いし、静かで落ち着くからな」
確かに落ち着く雰囲気だけど。
「で、どうした?何かあったのか」
「あ、いや……休みだし、康哉どうしてるかと思って」
「そうか」
き、気まずい。
何か俺、久々に元彼に会う彼女みたいな気分だ。
「急に来たから何かあったのかと思った」
「何かって?」
「別に何もないならいいんだ。元気そうだな」
「お、おう。元気だぞ。携帯は壊れたけど」
新しいスマートフォンを見せると、康哉は笑った。
「お前の好きそうなデザインだ」
「うん。気に入ってる。ゲームとか、ネットは楽しいけど、写真が全部消えちゃってさ……異世界の竜とか」
「分かった分かった。異世界写真送ってやるよ」
「そっか。よかった。康哉全然連絡くれないからさ」
コーヒーが来たので、康哉は一口飲んでため息を吐いた。
「実はここ数日、身内の事で揉めていて」
「え?」
「母親が入院したんだ」
「ええ!?大丈夫なのか?」
康哉の母ちゃん、小学校の頃に一度くらいしか会ったことないけど、派手で綺麗な人だったよな。
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