ずっと親友だと思っていたのに

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お店には、女の子が三人待っていた。康哉はまだ来ていなくてほっとする。佐々木の彼女の友達は、みんなノリが明るくて可愛い子ばかりだった。女の子がたくさんいるとやっぱり華やかになるな。 「まだ一人きていないけど、先に食べようか」 佐々木はいつも俺と一緒にふざけた事ばかりやっているおちゃらけた奴だったけど、こうして見ると昔よりしっかりしてるな。 テーブルについて、料理を頼んで、かるく乾杯して、お互いに簡単な自己紹介をする。 女の子達は俺たちより年上らしく、たくさん男友達もいるらしい。 そのせいか、場慣れしている気がする。 「岬君は彼女いるの?」 「いや、全然」 「えー可愛いのに」 よく見れば可愛い顔なんです。 「修平は友達は多いのに、彼女は出来ないんだよな」 「そうかも」 「だってなんか弟みたいだし」 「弟!?」 やっぱり末っ子だからか。 弟って恋愛対象外ってことか? でもまあ、いいか。俺も特別誰かが好きとかないし、初対面の人と話すのは楽しいし料理も美味しい。 リラックスしてポテトをパクパク食べていると、佐々木が鳴り出したスマホを取った。 「あ、康哉?おせーよ。何してんだ?」 康哉の名前を聞いてびくっとする。 やっぱり来られないとか、そんな感じかな。 だけど俺の気持ちとはうらはらに、佐々木はスマホで話しながら席を立ち、数分後に康哉を連れて戻ってきた。 「俺の高校の友人の松田君で~す」 「こんばんは」 「えー松田君かっこいいんだけど!」 「俳優に似てるって言われない?」 「たまに」 ちらっと見ると、康哉は普段はかけない眼鏡をかけてた。 それだけで芸能人のオフみたいな雰囲気になるのは何故なんだ。 「松田と岬は小学校からの幼なじみなんだよな!」 佐々木の紹介で初めて康哉がちらりとこっちを見た。 気まずい。 なんだか俺には電話しないけど、佐々木とは普通に連絡取ってるんだな、とか変な部分に引っかかってしまう。 康哉は、俺が嫌いなんだから当然か。 女の子達は康哉の登場にやっぱり喜んでいるみたいだった。 彼女はいるのかとか、趣味はなんだとか、あれこれ話が盛り上がってる。 普段なら楽しいはずなのに、康哉の登場でいろいろ思い出して、俺のテンションだけが下がってしまった。 俺の初めて出来た彼女も、康哉の事が好きだったよな。
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