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あの廃屋での告白とキスと、その後の異世界のあれこれで、康哉とどんな顔で話していいのか分からなくなっていたけど、今は普通だ。
普通に話せてるし、顔を見ても気まずさも照れもない。
「この生き物ってどんな鳴き声とかするんだ?懐いてるのか?」
「雪男は半獣らしい。後の二頭は騎獣だな」
「いいなぁ。俺も乗りたい」
「修平」
「ん?」
異世界動物の写真を眺めていると、康哉がじっと俺を見ている事に気づいた。
「康哉?」
「もう大丈夫みたいだから、俺は帰るな」
「え?」
「佐々木がこれからお前の様子見に来るから、店には二人で行ってこい。携帯が直ったら写真送るよ」
「康哉は?」
なんとなく、もう少し一緒にいたくて聞いてみる。
「一週間何も出来なかったからな。人と会う予定もあるし、忙しいんだよ」
「そっか。引き止めてごめん」
以前の康哉だ。
絶対に俺の部屋には泊まらなかった康哉。
大体いつもこんな感じであっさりと、俺との時間を終わらせていた。
それが何故か寂しい。
さっきまで気まずさがなくなって喜んでいたのに、勝手だな。
寝てていいという康哉を玄関まで見送る。
「康哉、ありがとう」
「何に対しての礼だよ」
康哉が苦笑する。
「いや、弁当とか。看病とか……」
「それくらいしか罪滅ぼし出来ないからな」
「康哉……」
「佐々木が来るまで寝てろよ」
そう言って康哉は帰って行った。
***
なんだかぼんやりした気分で、シャワーを浴びる。
身体がミシミシと錆びついているような感覚がした。シャワーで少し生き返った。
無意識にお尻の調子をチェックしてしまう。習慣とは恐ろしい。
もう二度と、男とする事はないんだろうな。
漠然とそう思うのに、身体についた無数の痕にいろいろな事を思い出して熱がぶり返しそうになった。
「修平~!久しぶり、お前熱下がったの?」
康哉が帰ってから一時間後くらいに佐々木がやって来た。
「かなりマシになった。久しぶり。バイト連絡出来なくて悪い。携帯がいつの間にか壊れてて」
「ああ。さっき松田に聞いた」
佐々木はいつもなら玄関で靴を脱ぎ散らかし、上着も脱いで安い椅子にどかっと座るんだけど、今日は違った。
玄関先できょろきょろしている。
「どうした?上がっていいぞ」
「いないよな?」
「え?」
佐々木は声のトーンを落とした。
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