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「やーさっすが蒼君。相変わらずお迎えが早いことで」
「亜美さん、いつも姉が迷惑を掛けてて……すいません」
「いいのいいの、気にしないで。それより、この酔っ払い早く連れて帰ってやって」
「あ、亜美!?」
椅子から立ち上がった私を蒼の胸に押しつけるような形で背中を突き飛ばされて、おぼつかない足のせいでそこへダイブしてしまう。
「……っと」
それをすかさず抱き留めて、蒼は私の身体を軽々と腕に抱き上げた。
「……ったく、またこんな飲んで」
「……うぅ」
『いいなー姫抱き』
『もしかして彼女? 羨ましすぎるー!』
いやいや。彼氏ではなく、世話焼きな弟です。
……なんて、酔っ払った頭で言い訳しながら。
無駄に整った外見の蒼のせいで注目を嫌でも浴びてしまい、今度は酒ではなく羞恥で顔が火照る。
蒼の行動により、更に騒がしくなる店内。
主に女の悲鳴で。
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