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そう頭では言い聞かせてみるものの、一度意識してしまうと蒼の容姿を目で追ってしまう。
私の真っ黒で所々癖のある長髪とは違って、蒼の髪は生まれつき色素の薄いサラサラの茶髪。
襟足だけ長めで後は短く、程よく整えられている。
「……い、……ねき」
右分けになっている前髪の奥から覗く二重瞼の瞳は、切れ長でありながら一度見つめてしまうと目が離せない。
バランスよく通った鼻筋。
薄く引き結んだ唇。
180を超える身長はすらりとしながら、私を軽々と抱き上げてしまうほど逞しい。
……悔しいけれど、蒼がモテるのも納得だ。
「おいっ! 姉貴!」
「へっ?! な、なな何!?」
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