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目の前には吐息が掛かるほどの距離に蒼の顔。
その後ろには、薄明かりに照らされた天井だけが見えていた。
──つまり。
私は蒼に押し倒されていた。
「姉貴はさ、なんでそんなこと知りたいワケ?」
「なんでって……別に、ただの好奇心っていうか」
何故こんな状況に陥っているのか分からず、しどろもどろに返事を返す。
蒼と……目を合わせられない。
そりゃ私達は凄く仲の良い姉弟とまでは言わないけど、家族としての時間を今まで積み上げてきたはずだ。
それなのに。
今私の両手首を押さえて、組伏せるこの男は誰?
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