本編02.姉弟の一線は?

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  ──だというのに、蒼の腕は簡単に私を解放してくれない。 それどころか、より強く抱き締めてくる。 「蒼、馬鹿なことしないで。私はもう平気だし、なんならタクシーでも拾って」 「俺が姉貴を好きなこの気持ちも、馬鹿なことなのか?」 「……!!」 言葉を失う。 もしかしたら“そう”なんじゃないかと、今日の様子がおかしい蒼を見ていて感じていた。 私を見つめる蒼の目は、明らかに男の目をしていたから。 「俺は、姉貴が好きだ」 「私だって好きよ? でもそれは家族として大切だから。だから、蒼の気持ちも私と同じ……」 「同じじゃねえよ!!」 諭そうとした私の言葉が、蒼の怒鳴り声に掻き消される。  
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