本編02.姉弟の一線は?

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  少しでも動いてしまえばキスしてしまいそうな距離で、蒼が私の顔を覗き込む。 その瞳を見れば、嘘や冗談なんて一切含んでいないことは一目瞭然だ。 でも、嘘でもいいから。 私は蒼が『冗談だ』と笑ってくれることを期待していた。 そうじゃないと、家族として姉弟の時間を積み重ねてきた今までの時間が、全て消えて無くなってしまいそうで。 ──恐かったから。 「そう。言いたいことは分かったわ。でも、それを聞かされて私はどうすればいいの?」 「え?」 「キスでもすればいい? それとも抱きしめ返してあげればいいの?」 矢継ぎ早に言葉を吐き捨てる。 蒼を傷つけるかもしれない。 でも、そんな簡単に受け入れる訳にはいかないから。  
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