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「ごめん。ごめんね……蒼」
私の胸に顔を押しつけるようにして、蒼を抱きしめる。
身体が成長したと思っても、中身は私が知っている蒼と変わりない。
そして私の知らないところで、蒼は気持ちをずっと隠し続けてきたんだ。
こんなに泣くほどに、苦しみながら。
「俺も……ごめん。姉貴を好きになって、ごめん」
「バカね」
肩越しに聞こえる、蒼の震えた声。
それを耳にして、より一層強く蒼を抱き締めた。
人を好きになる気持ちは、誰にも止められないもの。
例えそれが、世間的に許されない相手であったとしても。
私は慰めるようにそっと蒼の頬を引き寄せ、触れるだけのキスを目尻に、頬へ。
最後に唇へと落とした。
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