本編03.濡れた肌を重ねて

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  「姉貴の髪ってさ、指通りがよくて気持ちいいよな。ずっと触れていたくなる」 「な、何言ってるのよ」 夢見心地だった思考が、蒼の一言にパッチリと目を覚ます。 髪には神経なんて通っていないはずなのに。 そんなことを言われたら、蒼が触れた箇所が熱を持ったように熱く感じた。 胸元では、ドクドクと早鐘を打つ鼓動。 「朝ごはん出来たわよー」 「分かった、今行く。うん、これでよし」 さらりと横髪を整えてから、蒼はお母さんの呼び声に私の側を離れた。 久しぶりにこんなにドキドキした。 蒼が離れたことで、少しずつ落ち着きを取り戻してくる心臓。 最近の蒼は時折、弟の顔から男の顔になる。 蒼の告白を切っ掛けに、新たに知る蒼の一面。 今までずっと同じ家で一緒に暮らしてきたっていうのに、知らなかったのが不思議なくらいだ。  
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