本編03.濡れた肌を重ねて

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  「梓も早く食べちゃいなさい」 「はーい」 それでも、いつもの日常と変わりない日々を送っている。 けれど確かに、私の中では少しずつ、ゆっくりと。 蒼に対しての気持ちは、変化の色を見せ始めていた。  * * * 「雨が降りそうな曇り空ね」 大学から家まであと少し。 パンプスを履いた足をカツコツと鳴らしながら、私は帰り路を急ぐ。 頭上を仰ぎ見れば、どんよりとした厚い暗雲が空を覆い、今にも泣き出しそうな灰色だった。 「家まではあとちょっとなのに……」 曲がり角を曲がった瞬間。 「──あ、姉貴!」 「え?」 背後から聞き覚えのある声がして、振り向く。 そこには紺のブレザーに灰色のズボンという制服を身に纏った蒼が、軽く手を上げて立っていた。  
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