135人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、気休め程度にしかならないかもしれないけど、貸してやるよ」
ふわりと肩に掛けられたシャツ。
まだ蒼の体温が残っていて、じんわりと暖かい。
「い、いいよ。蒼こそ、風邪引いちゃうでしょう?」
せっかくの好意を無下にするようで申し訳ないけれど、こんなの羽織ってなどいられない。
チラリと横に視線をやれば、逞しい上半身の裸。
お、落ち着かない……。
「じゃあ、姉貴があっためて?」
「は? ……っ!?」
いきなり何を言い出すのかと仰ぎ見れば、目前に迫る蒼の筋肉質な胸板。
次の瞬間には、蒼の腕の中に捕らわれていた。
「ほら、これなら姉貴も暖かいだろ?」
「う、うん……」
直接触れる人肌の暖かさ。
恥ずかしいとも思うのに、どうしてこの腕の中はこんなに心地いいんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!