本編03.濡れた肌を重ねて

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  耳を澄ませると聞こえてくる。 ドクン、ドクンと。 少し速いリズムで刻む、鼓動。 これは私? それとも……蒼? どちらから聞こえてくるのだろう。 「姉貴さ……今、凄いドキドキしてるだろ?」 「なっ! し、してないわよ!?」 まるで頭の中を見透かしたような蒼の問いかけに、今度は別の意味でドキッとする。 ビックリして声が裏返っちゃったし。 冷静に考えてみれば、こんな場所で半裸の弟と抱き合っているこの現状も、ヤバくないだろうか? (……人の目に見つかる前に、離れなくちゃ) しかしその考えも、次に移った蒼の行動に吹き飛んでしまうことになる。 「ふーん。じゃあさ、確かめてみようか?」 「確かめるって……んっ」 首元に蒼の顔が埋められ、吐息が耳朶を掠める。 そこから徐々に下り、首筋をなぞるように唇で啄まれて。 胸のドキドキが更に増したような気がした。  
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