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見送りの言葉をお母さんの背中に掛けると、パタンと閉じられる扉。
急に玄関が静けさに包まれた。
「蒼は……もう帰ってるみたいね」
綺麗に整頓された玄関の靴の中に、脱ぎ捨てたばかりのような並べ方で薄汚れた蒼の登校用の運動靴があった。
それに、蒼の靴のサイズよりも二回りは軽く小さいだろう茶色いローファーも隣に。
それは女の子しか履けない、可愛らしいサイズのものだった。
誰かと今、一緒に来ているの?
それも、女の子なんて家には滅多に連れ込まない蒼が。ここへ?
「──じゃあ、私は帰るね」
「あぁ。玄関まで送るよ」
気になって上を仰ぎ見ていたら二階からそんな会話が聞こえてきて、慌てて靴を脱ぎ階段の下にあるスペースに身を隠す。
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