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──それを破って。
「……いるんだろ、姉貴」
振り返った蒼と目が合った。
「き、気づいてたの?」
「玄関見れば姉貴の靴があるのはすぐ分かるし。部屋から出た時にチラッと見えてたから、ここにいるのは知ってた」
バレてたんだ。
こうなると、隠れている自分の姿が恥ずかしい事この上ない。
慌てて階段の下から抜け出し、すくっと立ち上がった。
「なんで隠れたりしてたんだ?」
「いや……その。お邪魔かなーなんて」
ただの友達だと言われたらそれまでだけど。
蒼は気軽に女の子を連れ込むタイプではないと知っているだけに、彼女が蒼にとって特別なように見えたんだもの。
あれ? なんか……そう思ったら、胸がモヤモヤしてきた。
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