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「……もしかして姉貴、嫉妬してんの?」
「なっ! そ、そんな訳ないでしょう?!」
口ではそう言い返しながらも、バクバクと心臓はいやに速かった。
弟である蒼に嫉妬だなんて。
絶対に無い。いや、あり得ない!
「そうか? じゃあ俺が姉貴以外の女を抱き締めてたら、どう思う?」
「それ、は……」
核心をつくような物言いで問われて、言い淀む。
正直に言えば、そんなの想像しただけで嫌な気分になった。
ムカムカとした不快感が胸元で渦巻く。
でもそれを口にすれば、私は蒼の言い分を認めることになる。
だから、唇をつぐむしか無かった。
それは私の中に未だある、姉としての変なプライドから来るものだったのかもしれない。
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