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「じゃあキスしてたら?」
「なんでそんなこと、一々私に聞くの?!」
怒鳴ってしまってから、ハッと唇を片手で塞ぐ。
認めたくないからって怒鳴って、反発して。
反抗期の子供じゃあるまいし。
「ごめん……怒鳴ったりして」
「いや……別にいいけど」
気まずい沈黙。
そこで一旦落ち着こうと思い、私は一拍の間を置いてからゆっくりと口を開いた。
「誰とどうこうしようが、それは蒼の自由よ。だから私には関係な」
「そんなの、嘘だ」
「ちょっ……蒼!」
続けようとした言葉を蒼は遮って、背後にある壁に私の肩を押し付けた。
顔の横には両手が置かれ、私とは違う整った相貌が唇に触れる数㎝という距離で迫ってくる。
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