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──チュク。
舌と舌が触れて漏れる水音。
けれど、そんな音も今は興奮を煽るだけ。
「はふ……んっ、ふぅ」
恥ずかしいなんていう感覚も飛び越えて、私は夢中で蒼の舌に自らの舌を絡める。
唾液が口端から零れ、首筋を伝って流れ落ちようとも。
構わずキスを続けていた。
こんなに気持ちのいいキスはいつ以来だろう?
それこそ、初恋だった高校時代の先輩以来だろうか。
……ううん。それ以上かもしれない。
「蒼……んんっ」
不快な気持ちを抱くどころか。
こんなに愛しくて。
もっと欲しくて、堪らない。
それが何を意味するのか。
心よりも身体が先に答えを教えてくれたような……そんな気分だった。
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