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そりゃ、そうだ。
あんな顔をしている時のお母さんって、からかいモード発動中だから。
大方、蒼の彼女だとでも思っているのだろう。
「そうなの、残念ねぇ。おやつのひとつも持って行こうかと思ってたのに」
「あのな……母さん。まぁいいや」
ガシガシと頭を手で掻き、蒼は続けようとした言葉を飲み込む。
言い訳すればするほど、面倒事が増えるだけだと悟ったのかもしれない。
「そんなんより、ちょっと俺姉貴と出かける用事があるから。晩飯はいらない」
「えっ!?」
うやむやになったからには仕方ないと、自分の部屋に戻ろうとしていた私の腕を掴み、いきなりそんなことを言い出す蒼に驚く。
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