4人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
それなりに裕福な商家に生まれた私は、本来なら結婚せずとも家の手伝いで暮らしていけた。
だが、男爵家と父との間で何か取り決めがあったらしい。本来なら貴族でもない私が嫁ぐことなど考えられない。
おそらく、生前父が多額の援助をしたのだと思う。
父は私の身を案じて、結婚の話を取り決めたのではないかと思う。
父が亡くなったので、詳細は不明だ。
結婚の話は、有耶無耶になるかと期待していた。
けれど、そんな私の期待を打ち砕くように男爵家から迎えがきてしまった。
商売は母が切り盛りしている。
母に心配をかけたくないので、私はひたすら大人しく耐えている。
夫は、一応貴族のはしくれ。
家へ何かしらの迷惑をかけることになるかもしれない。
何をするか分からないから。
だから、私が我慢すれば丸く収まる。
最初のコメントを投稿しよう!