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夫は私に対してだけでなく、誰に対してもあのような態度なので、使用人達は耐えきれずに皆出て行った。
恐らく使用人達は結託して、私に押し付けたに違いない。
迎えに来た方も、この邸に着いた時にお会いした方々も、皆一様に「どうか、ご容赦ください!」と到着早々に何度も私に頭を下げていた。
その時は、何の謝罪を受けているのか分からなかった。
次の日に、その謝罪の意味を知ることになった。
だって、邸には誰もいなくなっていたから。
おかげで来て早々に、邸の管理を全て任され、掃除、洗濯、料理やら全ての雑用をこなしていて、疲れてまともな思考回路ではなくなった。
管理を任されるとは言っても、金銭面以外だ。
必要分金銭を受け取り、領収書を必ず渡さなければならない。
まぁ、贅沢を好んでしたいわけではないので別に構わない。
ただ、外出には制限がつく。
基本的に食材の調達、必要品購入時以外は許可がでない。
それも時間制限つきだ。
実家に逃げ込むことも考えたが、夫は、怒ると何をするか分からない。
恐怖で、半分言いなりになっている。
「ミーナ」
夫が呼んでいる。
そんなに広い邸ではないので、呼ばれてから時間がかかると、また怒られる。
私は重い足をなんとか動かして、夫の部屋へと向かった。
『はぁ…』
行きたくない……
でも行かないという選択肢ない。
必然的にため息が漏れる
早く行かなければ。
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