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「なんだとっ!
文句があるなら同じくらい稼いでから言え!」
激しい怒声と共に床にお皿が散らばる。
あぁ、まただ。
癇癪を起こし、物を投げるのは日常茶飯事。
すぐに激昂するこの男性は、一応私の夫だ。
反論しても無駄なので、ひたすら俯いて黙っている。
「さっさと片付けろ!
こんなもの食べれるかっ」
夫は、激しく足音をたてながら部屋を出ていく。
一体何を怒っているのかというと、本日の料理のメニューが気に入らないから。
幼い子供でもこんなわがままは言わないと思う。
夫は好き嫌いが激しい。
本日、私はスープにカボチャを入れて、パンプキンスープを提供した。
私はカボチャが大好きだからだ。
今までは夫が嫌いだから、別の鍋で作ったりしていた。が、はっきり言って手間がかかるし、面倒だ。
夫の器には、なるべくかぼちゃを入れずに注いだのだけど。
スープを一口飲んで、カボチャの味がすると先程の展開だ…。
ほんの少ししかカボチャはいれておらず、私が食べたかったからだと伝えるも、私の発言は全て文句とみなされる。
文句があるなら、同じくらい稼いでこいと。
もったいない……。
色々なものを粗末にして。
だいたい同じくらい稼いでこいって、そんなにあなたは偉いのか。
私達夫婦は、いわゆる政略結婚だ。
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