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キョウマ組
「ほら、急ぐぞ。僕に続け。大きな音を出すな。ワーム達は、足が遅い。だが、触手は素早い。攻略するには、いいヒントだ」
公平なくじ引きで、キョウマと、タキヤ、高嶺ナオの3人で、理科室を目指す。
「武器、これで効くの?」
それは、火炎放射器だ。
とりあえず、作れるだけ、キョウマが作り、武器調達組と、食料組、高橋ヨウコ先生の校内放送組の4組、あと、居残り組を作り、探索に向かう。
「仕方ない。科学室でも、取り扱う薬品がないんだ。理科室なら、大量に薬品がある。爆弾が大量に作れるよ」
高嶺ナオが、言う。
「キョウマ君、そんな知識あるのに、なんで赤点取るの?なんで、悪いことにその知識を使うの?駄目だよ」
キョウマは、チッと、軽く舌打ちする。
「やりたいからやるんだ。偉人だって変人ばかりだろう?それと同じだ。お前に、心配されたくないね」
「な、なによ!?人が親切に言ってんのに!!」
俺は止める。
「2人とも、静かに。ワーム達がいたらどうすんだよ?」
2人とも黙る。
間が空き、唐突にキョウマが喋る。
「ヤバい。トイレ行きたい」
「「ハァ!?」」
俺と高嶺ナオがハモる。
「仕方ないだろう?生理現象なんだ。すぐ先にトイレあるから、行こうや。お前らも、用を出しとけよ」
キョウマの言う通り、トイレがあり、キョウマは、中に入る。
高嶺ナオと俺で待つ。
よく考えると、彼女とは、初喋りだ。
クラスメイトだが、ほとんど、喋ったことがない。
どう話すか悩むと、高嶺ナオから話しかけてきた。
「キョウマ君と、随分、仲がいいんだね?」
俺は答えた。
「あ、あぁ!そうだよ。小学生からの幼馴染だよ」
「どうして、彼はひねくれているの?昔からなの?」
俺は答えた。
「…………あいつは、いいヤツなんだよ。あいつの家庭問題も知ってる」
「どんな?複雑なの?彼を知るには聞きたいな」
俺は、考えて言う。
「………あいつの家庭は、ネグレクト。育児放棄だよ。あいつは、笑って言うけど、母親に虐待されていたらしいんだ」
「え?」
「俺と会うまで、母親に友達作るなと言われて、殴られたり、蹴られたり、終いには、タバコの火を押しあててたらしいんだ。あいつは、この島の人間じゃないんだ。初めて、この島に来て、俺が声をかけて、友達になったんだ」
「そ、そうなの?」
「あぁ。あいつが教えてくれたんだ。自分は、女子が嫌いなんだと。特に命令する女の子が特に嫌いってね。母親に似ていて、それで、喧嘩口調なんだ。けど、俺には、ココロを開いてるんだ。だから、ある程度、理解してるんだ。あいつと、喧嘩した時、泣きながら、友達辞めないで!!と謝ってきたことあるんだよ。それから、絆が、深いんだ。俺が、困ることがあったら、必ず、助けてくれるんだよ。本当は、いいヤツなんだよ。理解してくれると嬉しいな。高嶺さん。あいつなりに、協力しようとしてるんだ。分かってほしい」
高嶺ナオは、泣いていた。
「そ、そうなの?だから、あんな態度なんて知らなかったわ。私、誤解してた」
「俺が喋ったこと内緒にしてほしい。女子に慰められるの、あいつ、嫌いなんだよ」
高嶺ナオは、コクコクと頷く。
「タキヤ君。高嶺さんじゃなくて、ナオって呼んで」
「えっ?いいの?」
「私が、いいと言ったからいいの!!」
「じゃ、ナオ。宜しく。」
「こちらこそ!」
「ふぅ〜。気分いいね!!スッキリしたよ。あん?なんだ?いつの間に、仲良くなってんだ?まぁ、こうゆう状態、吊り橋効果って言うんだけど、危機的状態の男女を組ませると、恋人になるんだ。タキヤ?僕が許可した女の子しか、お付き合いさせないからね?」
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