理科室

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理科室

「ワーム達がいないな?なんで?」 「確かに居ないわね?みんなで、集まってゲームでもしてるのかしら?」 「ナオは、冗談上手いね。でも、これは、おかしいな」 キョウマが、ぶつぶつと、なにか言ってる。 「………宿主が、居ないから、外に出たか?待てよ?おい、タキヤ?今、何時?」 俺は腕時計を見る。 「ちょっと待て!えっと、今、夕方、17時00分ビッタリだ。それがどうした?」 「もしかしたら、寝てるかもしれないな。いや、休眠かもな」 「どう言うこと?」 ナオが、キョウマに聞く。 「ワーム達は、朝から活動しているだろう?僕が観ていて、彼らは食事は、摂っていない。寄生が目的で、行動している。だが、生物は、なにか、食べないと、死ぬ。寄生主が死んだら、繁殖は、できない。だから、何処かで、休眠していると思う。活動するには、エネルギーが必要だ。大抵の生物は、無駄なエネルギーを使わず、次の日の、朝に動くはずだ。昼間活動かもしれないな。ただ、問題なのは、ワーム達は何処で、休眠しているかだ。しくったな」 俺は聞く。 「しくったってどういう意味だ?」 キョウマは、答えた。 「生物は、眠っている時に、邪魔が入ると、防衛行動をするんだ。例えば、耳元に、蚊がブ〜ンと音をたてたら、僕達は起きる。そして、蚊を殺そうとして、覚醒する。それと同じだ。ワーム達が、どんな防衛行動をするか、不明だが、起こしたら大変な事が起きるな」 ナオが、慌てる。 「ヨウコ先生に、電話しないと!!」 キョウマが、絶望的な事を伝える。 「さっきから、電話してるが、繋がらなかったよ。トイレで、連絡したが、電波がないよ。この雨で、恐らく、通信機能が壊れたな。2人とも、電波見ろよ」 俺とナオは、スマホを見る。 さっきまで、繋がっていた、電波が、いつの間にか、アンテナがゼロだ。 「マジかよー!!」 「今から、職員室に走ろうよ!!」 キョウマが言う。 「ここから、走っても、20分かかる。それに、ワーム達がどんな場所で眠っているか分からない。音をたてたら、ゲームオーバーだ!!リスクは負いたくないぞ?それに、もう、理科室まで、もうちょっとだ。ヨウコ先生と他の生徒には悪いが、時間稼ぎと、ワーム達がどんな防衛行動をするか観察したい」 「人でなし!!今なら、間に合うよ!お願い!!ヨウコ先生達を助けようよ!!タキヤ君も彼を説得してよ!!」 俺も、ナオの意見に賛成した。 キョウマは、はぁ、と呟き、着ている防護服を脱ぎ、ナオに渡す。 「これを着るんだ。タキヤと、別れるのはツラいが、僕、1人で理科室に向かうよ。ほら、タキヤ、これを持ってけ」 ダイナマイトみたいな、小さな筒を、俺に渡す。 「これはなんだ?」 「催涙ガスだ。恐らく、ワームは嗅覚も鋭いだろう。まぁ、効くか分からんが。ほら、早く行くんだ!!」 ナオは、お礼を言う。 「ありがとう。キョウマ君!!」 また、チッとキョウマは舌打ちをする。 「僕に構うなよ?僕は、必ず生き残るからね?悪人はしぶといから。タキヤ。また、会おう。さぁ、急げ!!」
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