突然の告白、そして別離。

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「私、人前で泣いた記憶なんてないんだけど?」 「だっから昔だって言ってんだろ!? 今のおまえにそんな要素ないってことくらい、嫌ってくらいわかってんだよ!」 「……なるほど。そりゃそうか――」  ……ふむ。  小さい頃の私は、大人しくて泣き虫だったのか。  我がことながら信じられないけど、晃人がそうだったって言ってるんだから、間違いないんだろうな……。 「……まったく。神隠しの前と後じゃ、まるっきり別人だよ。最初は俺、マジで偽者なんじゃないかって、疑ってたくらいなんだから」 「え――」  ……偽者? 「あ――、いやっ、今も疑ってるワケじゃねーぞ? 今はそんなこと思ってないけど――っ」  ……なんだろう。胸がドキドキする。  晃人が横であれこれいい訳してるけど、私の耳には全然入って来なかった。  ――偽者? 私が…………別人?  ……そんな……そんなことって……。  軽いめまいがして、私はよろめいて背後の御神木に寄り掛かった。 「桜っ?」 「……だ――大丈夫。……ちょっと、めまいがしただけ……」 「けど……顔色悪いぜ? やっぱ今日はもう帰るか?」 「大丈夫だってば。晃人、心配し過――ぎ……?」 「……桜?」  ――また、だ。  また聞こえた。  私を呼ぶ声――ううん、声じゃないのかも知れないけど……。  誰かに……どこかへ呼ばれてるような、そんな感覚が――……。 「――っ!?」 「桜っ!?」 「……やだ――っ、何これ!?」  体が埋まって――ってゆーか、めり込んでくみたいな……。  木に、吸い込まれてくみたいな……。
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