突然の告白、そして別離。

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「桜っ!!」  晃人が強く、私の手をつかんだ。 「晃人っ! 何これ!? 何なのこれっ!?……体が――体が木の中にっ!」 「わかんねーよ!! わかんねーけど……っ!……桜、絶対に俺の手離すなよっ!?」 「離すなよって、でも――っ! 勝手に体がっ!!」  左手が――左足が――左側の顔が、どんどん木の内部へと吸い込まれていって……自分じゃもう、どうすることも出来ない! 「晃人……晃人ぉッ!!」 「桜ぁあああーーーーーッ!!」  晃人につかまれてる右手だけ残して、私の体は木の内部へと入り込んでしまった。  ……何、ここ?  木の中……って、真っ暗でだだっ広い空間なの!? 『桜!! 桜っ、桜ぁああーーーーーッ!!』  晃人は私の手を離すまいと、外側から必死に踏ん張ってくれてるみたいだった。  ……でも、ダメ――!  凄い力で後ろに引っ張られてて、そう長くは、ここにとどまってられそうにない。まるで、が私を捕らえてて、どこかへ飛ばそうとでもしてるみたいだ。 「晃人……」  手が……離れる……っ! 『桜ぁあああああーーーーーッ!!』  完全に木の内部へと吸い込まれた私は、晃人の声が遠ざかるのを感じながら、真っ暗な闇の中、下へ下へと落ちて行った。  ……何これ!? ホントに何なのこれっ!?  木の中がこんな広い空間だなんて、あり得るワケ!?  ――ってゆーか、私、どこまで落とされるの!? いつ下に着くの!?  いやいやっ!  この勢いで下まで行ったら、死んじゃうんじゃないの!? 「冗ッ談じゃないわよぉおおーーーーーッ!!」  そんな叫びも空しく響く中。  私は真っ暗な空洞を、重力に従って、ひたすら落下し続けた。
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