落とされた先は

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落とされた先は

 いったいいつまで、この状態でいなきゃいけないんだろう?  いい加減疲れちゃったし、早く解放して欲しいなぁ。  ……まあ、解放も何も、このスピードで落下し続けて地面(――か床かわからないけど、この闇の果て?)に落ちたら、まず確実に死ぬことになると思うんだけど……長いことワケのわからない空間に放り込まれて、感覚がおかしくなってるのかも知れない。  とにかくもう、どこだっていいから、さっさと果てか何かに辿り着かせて~!  ……と考え始めてた私の視界が、何の前触れもなく、唐突に開けた。 「えっ?――ぅわ……っ!?」  ――ぼふんっ! 「ピギャッ!?」 「――っ!…………あれ?」  落ちた先は、どうやら固い地面や床ではなかったらしい。何やら弾力のある、肌触りのいいソファかクッションか……そんなもののようだった。  しかもこの……ソファだかクッション? 妙に温かい……。 「ん~、いい気持ち~。……このままここで、眠っちゃいたくなるような心地よさ……って、いや! そんな場合じゃないって!!」  ガバっと体を起こした私は、辺りをゆっくりと見回した。  うっそうと茂った木々が、ぐるりと取り囲んでいる。  空を(あお)ぐと、太陽が斜めの方に見えたから、まだ夜ではないようだ。  ……森の中……みたいだけど……。  でもどう考えても、私がいた世界じゃない……よね?   森の木々は、どれも見たことがあるような……いつも見慣れてる植物と、たいして変わらないように見えるけど……。  でも、あの妙な空間に引きずり込まれて、長いこと落ち続けて……で、ようやく着いた先なんだから、元の私がいた世界であるワケがない……よね?  ――とすると、ここはいったいどこ?……って話になるんだけど――。
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