落とされた先は

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「ピ……ピピィ~~~……。い、いつまで私の背中に……の、乗っているのでございます……かな?」 「……へ?」  ……何、今の?  誰かの声が聞こえたような……ってか、聞こえた! 絶対聞いたって!  確か、『いつまで私の背中に』とか何とか……って、えっ? 背中ッ!?  ギョッとして下を見ると、そこにはなんと、めちゃめちゃ大きな、鳥のような生き物が――!! 「ひゃあッ!?」  慌てて鳥(のような生き物)の背から飛びのき、私は数メートル後ずさった。  な…っ、何この物体!?……鳥なの!?  その物体――いや、得体の知れない生き物は、『よいしょ』とか『やれやれ』とかつぶやきながら起き上がり、翼を広げて、バッサバッサと体に付着した土や枯れ葉を払い始めた。  それが終わると、くるりとこちらに向き直り、私をまっすぐ見つめて、 「ピョ!?――っひ、姫様! 姫様ではございませんか!」  まんまるい目を更にまんまるくして言ったのだ。  ……姫?  姫様って――?  私はそっと後ろを見た。  ……誰もいない。  なーんだ。誰もいないじゃない。  (きら)びやかなドレスを着たお姫様が、護衛を従えて立ってるのかと思ったのに。 「姫様! 心配しましたぞ、姫様ーーー!」  だから、どこに『姫様』がいるってのよ――……って、何ナニっ!?  鳥(のような生き物)が、こっちにすごい勢いで突進して来るーーー!? 「姫様ーーーっ!!」 「きゃーーーッ!!」  もふもふぼふーん!  次の瞬間、私はその鳥(のような生き物)の胸の羽毛に(うず)もれ、身動き出来なくなっていた。
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