落とされた先は

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「姫様! あぁ~姫様~、ご無事で何よりでございましたぁ~! 今までどこに隠れていらっしゃったのです~? (じい)はさんざん捜し回って、もうヘトヘトでございますぞ~!」  鳥(のような生き物)が、大きな翼でぎゅむぎゅむと私を抱き締め、何やら訴え掛けて来る。  彼(……だよね? 自分のこと〝爺〟とかって言ってるし)が私を『姫様』と呼んでるのも意味わかんないし、この鳥(のような生き物)が何なのかもわかんないし、この世界がどこなのかも、さっぱりわかんない。  私はいろいろなことに混乱しつつも、 「む、ぐ……! 違っ――う、ってば!」  思いっきり鳥(のような生き物)の体を突き飛ばしてから、再び飛びのいて、ある程度の距離を取った。  「私はあなたが捜してる『姫様』なんかじゃない! 私は桜! 神木桜! 今まで一度も『姫様』なんかになったことはないし、なれるとも思ってない!……それより、ここはどこなの!? あなたは誰!?――ってか、なんて生き物?……鳥? 鳥でいいの? なんかやたらとおっきいけっ……ど……」  改めてまじまじと眺めてみると、その鳥(のような生き物)のおかしなところは、大きさだけじゃなかった。  まず、身長は私よりちょっと大きいくらい。百六十センチ前後……ってところだろうか。  それから、服を着てる。執事が着てそうな服。……でも、上着には袖がない。翼を覆う部分がないのだ。  下も一応穿()いてる……けど、足が短いから、まるで腹巻パンツのようだし……。  あのリアルな翼やら羽毛やらがなかったら、どこぞのゆるキャラ?――とでも思ってたんだろうな……。
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