怒らせちゃった!

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 ……落ち着け。  落ち着くのよ、私。  神様は、こーゆー言い方しか出来ないんだってば。  いー加減慣れなきゃダメ。  ……とにかく、冷静になるためにも。  私と桜さんが、入れ替わるように別世界に飛ばされた、理由ってもんをおさらいしてみよう。 「え~……っと、神様の話では、確か……『たまたま』私をあっちの世界へ飛ばして、桜さんを、こっちの世界に引き寄せたってことだったけど……。それって、もしかして……ただのいたずら心とゆーか、『面白そうだからやってみよう』って感じの、軽いノリで実行して……ホントは、すぐに戻すつもりだったんだけど、それが上手く行かなくて……十年間も機会を待つことになっちゃった、とか……そーゆーことだったりする?」 「う――っ」  ……なるほど。  図星だったみたいね……。  神様は顔を真っ赤にして絶句した後、うつむいたままモジモジしていたんだけど。  少し経ってから顔を上げると、開き直ったように空中であぐらをかき、腕を組んで口をへの字にした。  それから私を一睨みし、 「ああそーだよ! 始めはちょっとしたいたずら心だったんだ。……あっちの世界で桜見つけた時、こっちの国の『姫』ってヤツ――おまえと、あんまりにもそっくりだったから……。少しの間、こいつらを入れ替えてやったら、どんな面白いことになるだろうって……ただ、それだけだった」 「……やっぱり、そーゆーことだったんだ? 神様のちょっとしたいたずらが、二人の少女の運命も、周りの人達の運命も、見事に狂わせてくれちゃったってワケなのね」 「うっ、うぅ……。おまえ、意地悪だな! そんな言い方することないだろ!? オレだって、ちょっとは反省してるんだか――」 「『ちょっとは』?……なんかさっきから、ホントに反省してるのかどーか、疑問に思えちゃうようなことばーっか言ってるよね?」 「し――っ、してるよ! 反省してる! だからさっきも謝っただろ!」 「え~~~? あれで謝ったって言えるのかなぁ? イマイチ、誠意が感じられなかったんだけど……」 「お、おまえ……! おまえというヤツはぁ~~~……」
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