いつも見る夢

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「おいっ、桜!」  いきなり大声を出されて、私はビクッと肩を揺らした。  ――あ、いっけない。  ここ、学校だった。  窓際の一番後ろの席だから、陽が当たって暖かくて……つい、ウトウトしてしまってたみたい。  慌てて上体を起こし、声の主を確かめる。 「……なんだ、晃人(あきと)か。びっくりさせないでよ」  晃人だった。  家が近所で、小、中、高校、全て一緒の(くさ)れ縁。  まあ、早い話が、幼馴染ってヤツだ。  一部の女子達が、『カッコイイ』って言ってるのを耳にしたことがあるから、まあ、かっこいい部類に入るんだろう。  ……付き合いが長過ぎて、イマイチ、ピンと来ないんだけど。(ごめん、晃人)  私は『うーん』と(うな)りつつ伸びをしてから、再び晃人の方へ顔を向けた。  晃人は『なんだ』と言われて傷ついたのか、不満げに顔をしかめる。 「びっくりさせないでよ、じゃないだろ。どうしたんだよ、机なんかに突っ伏して? なんか悩み事か?」 「べつに。悩みってワケじゃない(ウトウトしてただけだ)けど。……例のあれが、ちょっとね」 「『例のあれ』?」 「前に話したことあるでしょ? 何度も何度も、同じ夢を見るって」 「――ああ、あれか。まだ続いてんのか?」 「うん。今も見てた」 「今ぁ?……なんだ、寝てたのかよ」  晃人は『心配して損した』とでも言いたげな顔をしてから、私を軽く(にら)む。  でも、すぐに真顔になって、しみじみとした口調で。 「けど、大分長いよな、その夢との付き合いも?……小学校入った頃からだろ?」 「うん。十年くらいになるかな」 「十年……っつーと、おまえが『神隠し』に()った頃か」
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