人語を解する鳥

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人語を解する鳥

 鳥(のような生き物)は、また首を傾け、しばらく何か考えているようだった。そして突然、ハッとしたように翼を大きく広げると。 「姫様、その御髪(おぐし)は!? 御髪が短くおなりあそばしておりますぞ!?」 「……は? おぐし……?」  おぐし……って? 「あぁあぁっ、あのお美しかった御髪がっ! ツヤツヤと輝き、サラサラと風になびき……目にする者全てが、うっとりと見惚れずにはいられないと(うた)われた、お美しい御髪が~~~っ!!」  バッサバッサと翼をバタつかせ、ぐるぐると小さい円を描くように飛び回る鳥(のような生き物)をぽかんと眺めつつ……私は改めて思った。  超低空飛行ではあるけど、飛び回ったりしてるし……。  やっぱこの鳥(のような生き物)、本当に鳥だったんだ。  ――でもまあ、その問題はひとまず置いといて。  何だか一人(一羽?)で大騒ぎしてる鳥さんを横目にしつつ、私は『おぐし』について考えていた。  おぐし……どっかで聞いたことあるような……。  おぐし……おぐしが短い……って言ってたっけ? あと、ツヤツヤとかサラサラとか……って――……んん? 「あっ、そっか! 髪のことか!」  ぽん、と右手で左の(てのひら)を叩くと、私は納得してうなずいた。  そっかそっか、髪の毛ね。  私の髪が短いって騒いでる――ってことは、その『姫様』は、私より髪が長かったんだ?  ちなみに、私の髪は肩よりちょい長め。  昔で言うところの『おかっぱ』、今時なら『ボブ』に近いかな?  ……ああ、そうそう。『ミディアムボブ』ってゆーんだっけ? まあ、そんな感じ。
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