怒らせちゃった!

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 神様は悔しそうに歯噛みし、しばらく私を睨んでいた。  でも、ふいにギュッと目をつむると。 「もういい! おまえと話すのも()き飽きだ! とっとと元の場所に戻れッ!」 「え!? ちょ…っ、ちょっと神様――!?」  マズイ!  完全に怒らせちゃった!  焦って取りつくろおうとしたけど、遅かった。  私は一瞬にして、再び現れた無数の桜の花びらに取り囲まれてしまう。 「神さ――っ」  呼び掛けようと口を開けたとたん。  数枚の花びらが口中に入り込んで、大きく()き込む。  ……苦しい……!  息が……出来、ない……。  咳が全然止まらなくて、辛くて――気が遠くなりそうになる。  ……誰……か……。  誰か……助け……て……。  ……ダメ……。  もう……限、界――……。  徐々(じょじょ)に薄れゆく意識の中。  誰かが私を呼ぶ声が……聞こえたような気がした。
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