目覚めると、王子が

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「リアのことを、気にしていなかった訳ではないんだ。彼女の身を案じていたし、無事でいてほしいと、今だって願っている。……しかし私は……君が目の前から消えてしまった瞬間から、君のことしか考えられなくなっていた。君が、君のいた世界へ戻って行ってしまったのではないかと……もう二度と会えないのではないかと、そのことばかりが心を占めて……。リアも、今頃どこかで――慣れない場所で、心細い思いをしているかもしれないというのに、君のことだけしか――! 今まで、私なりに大切に思っていたつもりだったのに……たとえ一瞬であっても、忘れてしまうとは……。私は……私は、なんて薄情な男なんだ――!」  王子……なんて辛そうな顔……。  ……嫌な子だな、私……。  王子がこんなに罪の意識に苦しんでるのに……今ちょっと、ドキッとした。  桜さんより、私の方を心配してくれてたこと……嬉しいって思っちゃった。  ……最低だ。  桜さんに幸せになって欲しいって、思ってたはずなのに……。 「……サクラ? 何故君が、そんなに悲しそうな顔を……?」  王子の両手のひらに頬を包まれ、私の体に緊張が走る。  不思議そうに覗き込む王子に、ハンパなく胸が高鳴って、苦しくて……。 「私のことを、気に掛けてくれているのかい? それとも、リアの身を案じて……?」 「両方です……って言いたいけど……。私は、王子が思ってくれてるほど、良い子じゃないみたい……です」 「……良い子じゃない? 君が?」 「私だって、桜さんには幸せになってほしいって思ってる。思ってるけど、でも……」  桜さんの幸せは、王子との恋が実ることなんだ――って考えたら、すごく胸が苦しくなって……。
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