目覚めると、王子が

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「サクラ……さん?」  王子のつぶやきに、ハッと我に返る。  ……そうだ。  私まだ、姫様が桜さんなんだってこと、話してなかったんだっけ。  ……でも、どう言ったらいいんだろう?  いきなり、『実は私がリナリアでした』なんて言ったって、信じてもらえるかどうか……。 「サクラ?……もしかして、君が消えている間に……わかったことがあるのか?」 「ピョッ!?――誠でございますかっ、サクラ様!?」  ……ん?  ……あ。なーんだ。  セバスチャンもいたのね。 「……うん。わかったことは……ある。でも、私も一度にいろんなこと聞いたから、まだかなり混乱してて……。上手く説明出来る自信、ないんだ……」 「聞いた? 聞いたって誰に?……まさか、神様に?」 「はい。そのまさかです。私、神様に会いました。会って、いろいろ聞きました」 「ピャピャーーーッ!?……な、なな――っ、なぁんでぇすとぉおおおーーーーーッ!?」  セバスチャンが飛び跳ねながら、翼をバッサバッサと羽ばたかせている。  よっぽど驚いたんだろうけど、羽根が抜けて、空中をふわふわ(ただよ)っちゃってるし……。  だ、大丈夫なのかな?  あんまり抜けちゃうと、ハゲちゃったりとかしないかな……? 「か、神様にお会いしたと申されましたか!? 誠でございますかっ、サクラ様っ!?」  ……ああ、また羽根が……。  勢いを増す羽ばたきに、ますます心配になって来て……。  四方八方に飛び散って行く羽根を、思わず目で追ってしまう。  あー……セバスチャンがハゲちゃったらどーしよー……。  ――って、いやいや。  ここでセバスチャンがハゲるかどうかの心配してても、しょーがないんだけど。
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