真実を告げる時

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 ……さて。  どーしよっかな……。  姫様が実は桜さんで、私がリナリアでした……って話は、どう伝えればいい?  ……すぐには、信じてもらえないかも知れない。  神様に会えたのも、話を聞けたのも、私だけなんだし。  嘘ついてるって思われたら、そこで終わりだもの。  証拠の品――桜さんが神様と話してた時の記録が、音声として残ってるとか、映像として残ってるとか、そういうものを示せるわけでもない。(携帯やスマホがないって、ホント不便よね……)  証人として、神様をここに連れて来られるわけでもない。  何も……ホントに何もないんだけど……。  でも……でも、大丈夫。  最後にはきっと、信じてくれる。受け入れてくれる。  だって、異世界から来ました――なんて滅茶苦茶な話を、みんなすぐに信じてくれた。『嘘をつくような人には思えない』って、こっちが拍子抜けしちゃうくらいあっさりと、信じてくれたじゃない。  だから、本当のことを話そう。  こんないい人達を(だま)し続けるなんて、私には出来ない。 「あのっ!……考え込んでるとこ悪いんだけど……みんなにもうひとつ、言わなきゃいけないことがあるの」  黙り込んでる二人に、思い切って声を掛けた。二人は同時に、私へと顔を向ける。 「……え……と……。前にセバスチャン、言ってたよね? 姫様は六歳の時に、一日行方不明になって……で、無事見つかったと思ったら、すっかり性格が変わってたって」 「は?……ええ、はい。その通りでございますが――?」 「それ、変だと思わなかった? たった一日で、そこまで性格変わっちゃうなんて……おかしいと思ったでしょ?」 「は……? はい。それは、まあ……。そのようなことがあるのだろうかと、思いはしましたが……。しかしそれは、姫様が何らかの理由で記憶を失くされ、そのせいで、以前のご自身さえも忘れておしまいになられたからかと……」 「……うん。そうだよね。そう思うしかないよね。……でも、姫様が一切記憶を失ってなかったとしたら、どうかな?」 「ピ?……記憶を……失くされてはいない……と申されますと?」  セバスチャンは首をかしげて、不思議そうに私を見つめた。
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