真実を告げる時

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「神様が言うにはね? 姫様は私と違って、六歳の頃に記憶を失ってたりはしなかったんだって」 「君と違って?……それはどういう意味だい? その言い方では、君もその年の頃には、記憶を失くしていたと……そう言っているように聞こえてしまうが?」 「えっ?……あ……えっと、それは……」  口ごもる私の顔を、前のめりになって窺い、二人は私の次の言葉を待ってるみたいだった。  う……。  ど……どーしよう?  国王様のこと以外は全部話そうって、決めたばかりなのに。  いざとなったら、怖気(おじけ)づいたりして……。  ……もう。情けないなぁ。  みんなを信じてるんじゃなかったの? 「サクラ。もしや君は……君は六歳の時にも、異世界に飛ばされた経験があるのか?……いや、違う。異世界に飛ばされたのは、六歳の時だけだろう? 今回の件では、異世界に飛ばされたわけではない。元いた世界に戻されただけだ。――そうではないのかい?」 「えっ?……ど、どーして……。王子が、なんで……そんなことを?」  今から言うはずだったことを、なんで王子が言うの……? 「そうか、やはり。やはり君は、あの時の――!」 「へ? 『あの時の』って、何のこ――……ひゃっ!?」  (こば)(すき)も与えられないまま、突然、王子に抱きすくめられた。  ……え……何?  いったい、どーしちゃったの?  ……なんでまた、こんなことになっちゃってんの!?  あまりにも予想外な展開に、私はパニクった。
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